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英語が苦手というだけで、日本語力の不足や発達の問題があるとは判断できません。子どもの言語発達を考えるときは、普段使う言語、学ぶ機会、理解や表現のどこに困っているかを分けて見ます。家庭の言葉を大切にしながら英語を学ぶことと、必要な専門的支援を受けることは両立できます。
1.言葉の発達の個人差と、相談が必要な困りごと
言葉の育ち方には個人差があります。一方、理解や伝え方の困難が続く場合に、「そのうち追いつく」と決めつけて待つことも適切ではありません。英語の点数だけでなく、家庭や園・学校でのやり取りを具体的に振り返ることが相談の出発点です。
米国NIDCDが説明するDLD(developmental language disorder、発達性言語症)は、言語の理解・学習・使用に困難が生じる状態です。難聴などの別の状態や、言語に触れる機会の不足だけでは説明されないものとして区別されています。年齢だけや、インターネットの説明だけで診断するものではありません。
同資料は、複数の言語を学ぶことがDLDの原因になるわけではないと説明しています。DLDによる困難は長く続く場合がありますが、年齢や必要に合わせた支援が役立ちます。「小学校入学時の遅れの70%が自然に治る」と一律に受け取らないことが大切です。
出典:NIDCD:Developmental Language Disorder
2.日本語を完成させてから英語、という順序は必須?
ASHA(米国言語聴覚協会)は、家庭で使いやすい言語で子どもと話し、その言語を維持しながら他の言語にも触れることを勧めています。第一言語の土台は他の言語の学習を支えますが、「日本語が完璧になるまで英語を始めてはいけない」という意味ではありません。
複数言語を使う子どもは、場面によって得意な言語が違ったり、会話の中で言語を混ぜたりすることがあります。それだけを障害の証拠とせず、触れてきた言語と使う機会を含めて考えます。日本語だけ、英語だけの様子から全体を決めつけないようにしましょう。
出典:ASHA:Learning More Than One Language
関連する読みの練習:日本語と英語の読解で、内容を確かめる練習
3.家庭でできる、伝わるやり取りの例
一緒に本を読み、遊びや会話の中で言葉を使うことは、ASHAも紹介している方法です。以下は本記事で作ったやり取りの例で、言語症の治療プログラムではありません。難しい言葉を大量に聞かせることより、本人が理解して参加できるやり取りを考えてみてください。
| 場面 | やり取りの例 | 確かめたいこと |
|---|---|---|
| 絵本を読む | 「どこへ行ったのかな」と尋ね、絵を指した答えにも応じる。 | 内容を共有できているか。正解を次々に求めていないか。 |
| 遊びの中で話す | 子どもの「赤い車」に「赤い車が走ったね」と応じる。 | 言いたいことを受け止め、少し表現を足せるか。 |
| 出来事を振り返る | 「最初は何をした?」と、写真や実物を見ながら話す。 | 長い説明を一度に求めず、話しやすくできるか。 |
| 英語に触れる | 好きな絵の名前を一緒に確かめ、日本語の説明も使う。 | 楽しめる分量か。分からないときに質問できるか。 |
返事を考える時間を取り、話し終わる前に答えを代わりに言い過ぎないようにします。言い直しを何度も要求して会話そのものが負担になる場合は、量や方法を変えましょう。
4.相談するときに整理しておくこと
言葉の理解や伝え方、聞こえが気になるときは、小児科、地域の保健センター、園・学校の相談窓口などに相談できます。必要に応じて言語聴覚士などの専門職につなげてもらいましょう。家庭での練習だけで解決しようとせず、本人の使う言語を伝えることも大切です。
| 伝える情報 | 記録の例 |
|---|---|
| 困った場面 | 指示が分かりにくかった、言いたい語が出なかった、など実際の場面。 |
| 使っている言語 | 誰と、いつから、どんな場面で日本語・英語などを使っているか。 |
| 理解しやすかった方法 | 絵を見せる、短く区切る、静かな場所で話すと伝わったか。 |
| 周囲の観察 | 家庭と園・学校で同じ困りごとがあるか、違いがあるか。 |
この記録は診断用チェックリストではなく、相談時に状況を共有するためのものです。英語の開始時期や教材選びも、本人の負担と支援の方針に合わせて相談していきましょう。