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日本の英語教育を考えるには、過去の批判、現在の制度、実際の授業や調査結果を分ける必要があります。「日本人は英語ができない」「教科書は全部実用的でない」と一括りにせず、学ぶ目標と練習のつながりを見ていきましょう。
他国との比較を考える記事:オランダの教育についての解説
1.2014年の記事が指摘したことと、その限界
旧記事の参考資料は、KK MillerによるJapan Todayの2014年10月7日の記事です。ネット上の議論などを紹介し、試験対策への偏り、教科書への不満、英語を実際に使う機会の少なさという論点を挙げています。全国の学校を代表する調査結果ではありません。
出典:Japan Today:What’s wrong with English education in Japan? Pull up a chair(2014年)
この意見記事だけから、現在もすべての授業が和訳だけで進む、ALTは発音するだけ、教材の質が一律に低い、と判断することはできません。個々の教材については、版・単元・例文・使う場面を特定して確かめる必要があります。
2.現在の学習指導要領は、英語を使う活動も求めている
中学校の学習指導要領解説では、聞く・読む・話す(やり取り/発表)・書くという五つの領域を扱い、情報や考えを理解して伝え合う力を目指しています。文法・語彙とコミュニケーションを二者択一にするものではありません。
授業は英語で行うことを基本とする規定もあります。ただし、国の目標が書かれていることと、すべての学校で同じ実践ができていることは別です。どんな課題に取り組み、どこで理解を確かめ、どんな支援があるかを見る必要があります。
3.2025年度の調査から分かること
文部科学省の令和7年度「英語教育実施状況調査」は、公立中学校・高等学校等を対象とし、原則として2026年2月1日を基準にしています。次は第3学年の生徒に占める割合です。
| 対象 | 英語力の基準 | 割合 |
|---|---|---|
| 中学校第3学年 | CEFR A1レベル相当以上 | 54.6% |
| 高等学校第3学年 | CEFR A2レベル相当以上 | 52.4% |
| 高等学校第3学年 | CEFR B1レベル相当以上 | 23.9% |
これらは外部検定試験の級・スコア等の取得者に、授業内のテストなどの根拠から英語担当教師が相当の力を有すると判断した生徒を加えた割合です。全員が同一の試験を受けた合格率ではなく、日本人全体の会話力の割合でもありません。
令和7年度は、対象の教育課程で学ぶ特別支援学級・特別支援学校中学部や高等部の生徒も含み、調査基準日も以前の年度と異なります。年ごとの数値を比べる際には、この対象・時点の変更にも注意が必要です。
出典:文部科学省:令和7年度英語教育実施状況調査概要(1・3・5ページ)
4.文法や単語を、使える練習につなげる
以下は本記事で作った練習例です。学校全体の効果を証明する実験ではなく、同じ表現を確認問題からやり取りへつなげるための案です。
| 段階 | 練習の例 | 確かめること |
|---|---|---|
| 形と意味を確かめる | Would you like some tea?の意味を考える。 | 相手にお茶を勧める場面か。 |
| 答えを用意する | Yes, please. / No, thank you.を使い分ける。 | 相手の提案を受けるか断るか。 |
| 状況を変える | teaをwaterに変え、自分ならどう答えるか考える。 | 単語が変わっても用件が分かるか。 |
| 振り返る | 言いにくかった語や分からなかった形を確認して、もう一度試す。 | 何を復習すれば次に伝えやすいか。 |
選択問題も、語彙や形の理解を確認する用途があります。そこで間違えた理由を確認し、読む・聞く・自分で書く・相手とやり取りする活動につなげることが考えられます。日本語で意味を確かめることも、英語を使う機会を作ることも、目的に応じて組み合わせられます。
身近な目標として、好きな作品の短い紹介を読む、相手に予定を尋ねるなど、自分が使いたい場面を一つ選んでみてください。できたことと難しかったことを分けて、練習の量や支援を調整しましょう。
子どもの発達と学習を考える場合:言語発達・多言語環境と英語学習