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子どもへの罰やご褒美は、ある・なしだけで教育効果を判断できません。何を変えたいのか、どんな方法を使ったのか、何を成果として測ったのかを分けて考えます。研究で分かった範囲と、家庭や教室で試す工夫を整理します。
声をかける英語表現:子どもを褒めるときの英語表現
1.厳しい罰なら効果がある?停学の研究から分かる範囲
PerryとMorrisの2014年の論文について、ケンタッキー大学が掲載する抄録は、学校・生徒の記録を追った分析で、停学処分の多い学校では停学になっていない生徒の成績にも悪影響が示唆されたと報告しています。対象は学校の排除的な処分で、家庭のあらゆる注意やルールを調べた研究ではありません。
これは処分を無作為に割り当てた実験ではありません。「罰は必ず無意味」「若者は理性で行動しない」といった一般論を、この結果から導くことはできません。
出典:Perry & Morris(2014):Suspending Progress・大学公開の論文抄録
日常の対応では、止めたい行動を具体的に伝えたうえで、代わりにどうすればよいかを一緒に確認する案が考えられます。例えば「授業を邪魔しない」だけで終わらず、「質問したいときは手を挙げる」「困ったらこの合図を使う」まで決めます。
2.ご褒美の実験は、何に報いたかで結果が違う
Fryerの2010年のNBERワーキングペーパーは、米国の250校を超える都市部の学校で行った無作為化試験を扱っています。学習につながる行動に対する報酬では成績の改善が見られた一方、テストの点数という結果に結び付けた報酬では効果が見られない、という違いを報告しました。
出典:Fryer(2010):Financial Incentives and Student Achievement(NBER Working Paper 15898)
したがって、旧記事の「ほぼすべてのケースでまったく効果がなかった」というまとめ方は不正確です。同時に、この実験が日本のすべての家庭で金銭報酬を勧める根拠になるわけでもありません。短期の点数、続ける行動、学ぶ楽しさは、それぞれ別に確かめる必要があります。
| 決めること | 確認の例 |
|---|---|
| 目標 | 点数を上げたいのか、間違い直しを始められるようにしたいのか。 |
| 必要な支援 | 何をすればよいか本人に分かるか。教材や質問できる相手があるか。 |
| 振り返り | 報酬の有無だけでなく、理解や負担、続けやすさはどう変わったか。 |
3.自己決定理論:自律性・有能感・関係性
自己決定理論(SDT)では、自分の意志で取り組める感覚である自律性、できるようになる感覚である有能感、周囲とつながる感覚である関係性を重視します。自律性は、助けを求めず何でも1人で行うこととは違います。
出典:Self-Determination Theory:理論と三つの基本的心理欲求
内発的動機付けは、活動そのものが面白い・楽しいために取り組むことです。「将来必要だから、自分でも大切だと思って学ぶ」は自律的であっても、活動の外に目的がある動機と区別されます。外発的動機付けをすべて悪いものとしたり、本人が価値を感じる動機をすべて内発的と呼んだりしないようにします。
出典:Self-Determination Theory:内発的動機と内在化された外発的動機の違い
4.家庭・教室での声かけと課題の調整例
以下は本記事で作った対応例です。この組み合わせの効果を実験で確認した手順ではありません。本人の反応を見ながら、合わなければ量や方法を調整してください。
| 場面 | 試す対応 | 本人と確かめること |
|---|---|---|
| 英単語の練習に取りかかれない | 読む練習と書く練習のどちらから始めるか選んでもらう。 | 選択肢のどちらも負担なら、量や難しさを変えられるか。 |
| 何度も同じ問題で止まる | 解き方を一つ見せ、一緒に次の一問を解く。 | どこまで分かり、どの説明が必要か。 |
| 点数だけを気にしている | 正答数に加え、前は説明できなかった一問を振り返る。 | 理解できた点と、次に確かめたい点は何か。 |
| 質問するのをためらう | 後で個別に聞く、メモで伝えるなどの方法も用意する。 | 本人が使いやすい相談方法になっているか。 |
続けること自体を唯一の目標にせず、課題を小さくする、別の説明を使う、休む、助けを求めることも選択肢にします。粘り強い人のふりをすれば能力が育つ、と保証することはできません。
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