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10代の不登校の背景は一つではなく、いじめ、学習の困難、対人関係、不安や体調などが重なることもあります。原因や症状の一覧だけで本人の状態を決めつけず、困っている場面と必要な支援を一緒に確かめることが出発点です。
ここでは、背景を考えるための観点、米国の調査の正しい読み方、社交不安症と相談先を整理します。この記事は診断用のチェックリストではありません。
1.原因探しを急がず、困っている場面を確かめる
文部科学省の支援通知は、登校という結果だけを目標にせず、本人に応じた支援と教育機会の確保を求めています。学校や家庭が状況を共有し、必要に応じて福祉・医療とも連携して考えます。
以下は話を聞く際の整理例です。原因の順位や、すべての子どもに当てはまる一覧ではありません。
| 確かめる場面 | 尋ね方の例 |
|---|---|
| 安全や人間関係 | 「学校や通学中、SNSで怖いことや嫌なことはある?」 |
| 授業や学習 | 「分からなくて困る時間、参加しにくい活動はある?」 |
| 体調や不安 | 「朝や授業中、体や気持ちはどんな感じになる?」 |
| 家庭と日常生活 | 「家で休める時間や、話しやすい人はいる?」 |
| 安心できる条件 | 「少し楽だった時間や場所はあった?」 |
話したくないときに理由を繰り返し聞き出すより、メモで伝える、別の大人に話すなど、本人が使いやすい方法を相談しましょう。筆者の経験は中学生のころに学校へ行きづらかった体験に記していますが、一人の経験を他の子どもの原因に当てはめることはできません。
2.睡眠・食欲・頭痛などの変化は、相談の手がかり
眠りにくい、食事が変わった、楽しんでいた活動を避ける、頭痛や腹痛が続く、といった変化は、本人が困っていることを知る手がかりになります。ただし、これらは不登校だけに特有の「予兆」ではなく、身体の病気など別の背景も考えられます。
体調の訴えを仮病や気持ちの問題と決めつけず、続く場合は小児科などで相談してください。不安が強く生活に支障がある場合も、学校の相談担当や医療機関につなげていきます。症状が一覧にないから相談できない、ということはありません。
3.いじめの割合は、不登校の原因の割合とは違う
米国NCESの公表ページでは、2021~2022学年度に12~18歳の生徒の約19%が、学校生活に関連していじめを受けたと回答しています。対象は第6~12学年の在籍者で、ホームスクーリングやオンラインのみで通学する生徒などは除かれます。調査には通学中や電話・インターネット等での出来事も含まれます。
出典:米国NCES:Fast Facts・Bullying(2021~2022学年度の調査)
これは米国の特定の調査での被害経験の割合であり、日本の不登校の主因を示す数値ではありません。「いじめが原因で不登校になった人の割合」でもありません。旧記事の2015年の約21%と同じ時点の数字として扱わないようにしてください。
元の解説記事には16万人という欠席の推計もありますが、今回、元調査の対象・算出方法を確認できなかったため、人数の根拠としては使っていません。学校を休む背景を一つの数字で説明することは避けます。
からかい、侮辱、仲間外れ、脅し、物を壊す行為などで本人が困っているなら、頻度や呼び名だけで軽く扱わず、安全を確保するために学校や相談機関と対応を考えましょう。
4.性的ハラスメントの48%は、交際相手に限った調査ではない
AAUWの2011年の報告は、米国の第7~12学年の生徒1,965人に、2010~2011学年度の経験を尋ねた調査です。48%が何らかの性的ハラスメントを経験したと回答しています。対面だけでなく、メール等の電子的な手段によるものも含みます。
旧記事の「パートナーなどから」という説明は不正確でした。この48%は交際相手による被害に限定した割合ではなく、不登校になった割合でもありません。過去の米国調査を、現在の日本の被害率として使うこともできません。
出典:AAUW:Crossing the Line(2011年、調査概要・第2章)
被害を話してくれたら、本人のせいにせず、今の安全と相談先を一緒に確認してください。相手が教員など学校の関係者で、学校内に相談しにくい場合は、教育委員会や学校外の窓口も選べます。詳しい説明を一度に求める必要はありません。
5.社交不安症は、単に恥ずかしがり屋という意味ではない
NIMH(米国国立精神衛生研究所)は、社交不安症を、人から評価・注目される場面に強い恐怖や不安が生じ、日常生活に支障を来す不安症として説明しています。教室で答える、初対面の人と話すなどの場面が難しくなることがあります。
赤面、発汗、震え、吐き気などが出ることもありますが、それだけで診断はできません。診断では症状の持続や生活への影響、他の身体的な原因などを専門家が確かめます。診断基準に持続期間があっても、困っている人が相談を先延ばしにする必要はありません。
支援や治療には心理療法などの選択肢があり、本人の状態に応じて専門家と相談します。「人の多い場所に無理に行けば慣れる」と家庭だけで対応を決めず、学校の負担の調整も含めて考えていきましょう。
出典:NIMH:Social Anxiety Disorder・症状、診断、治療と支援
6.相談時に共有すると役立つ情報
| 共有すること | 記録の例 |
|---|---|
| いつ・どこで困るか | 登校前、特定の授業、休み時間など。 |
| 本人の言葉と希望 | 本人が話したことを、周囲の推測と分けて記す。 |
| 生活や体調の変化 | 睡眠、食事、頭痛などがいつから続くか。 |
| 少し楽になる条件 | 静かな場所、個別の説明、信頼する人との会話など。 |
| 学校への連絡方法 | 誰に、どんな方法で相談すると負担が少ないか。 |
担任、養護教諭、スクールカウンセラー、教育支援センター、医療機関などと相談できます。文部科学省の窓口案内では、子ども本人や保護者向けの電話・SNS・地域の相談先を探せます。
旧記事が参考にしたNewport Academyのschool refusal解説は、米国の治療施設が公開する一般向けの記事です。日本の不登校全体を対象とする統計や、個人の診断結果とは分けて読みます。