聖書「タラントのたとえ」で学ぶ英単語とフレーズ集

イエス・キリストの「タラントのたとえ——“The Parable of the Talents”」は、新約聖書の中でもよく知られているたとえ話の一つです。
この物語では、神から与えられたものをどのように用いるのか、そして与えられたものに対してどのように忠実であるのかが語られています。

今回は、「タラントのたとえ」に登場する英単語や英語表現をまとめました。英語の聖書を読んでみたい方や、キリスト教英語を学びたい方にもおすすめです。

目次

「タラント」のたとえとは?

「タラントのたとえ」は、マタイによる福音書25章14~30節に記されています。

ある主人が旅に出ることになり、3人のしもべを呼び 自分の財産を彼らに預けました。
一人には5タラント、もう一人には2タラント、そしてもう一人には1タラントをそれぞれの能力に応じて与えます。

5タラントを受け取った人は、それを使ってさらに5タラントを得ました。
2タラントを受け取った人も、さらに2タラントを得ました。
1タラントを受け取った人は、それを地面に埋めて隠しました。

やがて主人が帰ってきて、しもべたちと清算をします。

5タラントを預かった人と2タラントを預かった人は、預かったものを増やして主人に返しました。
すると主人は二人に「よくやった。良い忠実なしもべよ」と声をかけます。

そして、You have been faithful over a little; I will set you over much. (あなたはわずかなものに忠実でした。私はあなたにさらに多くのものを任せよう。)と伝え、Enter into the joy of your master.(あなたの主人の喜びに入りなさい。) と語ります。

一方、1タラントを預かった人は、主人を恐れていたためタラントを地面に埋めてしまいました。
そのため主人から厳しく叱られることになります。

このたとえでは、単純に「たくさん持っている人が偉い」ということが語られているわけではありません。
5タラントを預かった人と2タラントを預かった人は、最初に与えられた金額は違っていても、どちらも預かったものを用いて忠実に働いたという点が共通しています。

「talent」は「才能」じゃない?

ここは英語の聖書を読むときに、とても重要なポイントです。
現代英語の talent は、才能・能力・特技という意味で使われます。

たとえば、

She has a talent for music.
(彼女には音楽の才能があります。)

という使い方です。

しかし、マタイ25章の talent は、もともとは金銭を表す単位です。聖書の英語では、five talents(5タラント)/ two talents(2タラント)/one talent(1タラント)というように登場します。

聖書の注では、当時のタラントは非常に大きな金額に相当し、英語訳によっては約20年分の労働者の賃金に相当する単位と説明されています。The Parable of the Talents をそのまま「才能のたとえ」と考えると、聖書本文の意味を取り違えやすくなります。
ただし、このたとえ話が現在の英語 talent = 才能 という意味につながっていったことは、英語を学ぶうえでも興味深いポイントです。

タラントのたとえで覚えたい英単語

英語 日本語
Talent タラント・金銭の単位
Parable たとえ話
Master 主人
Servant しもべ
Property 財産・所有物
Money お金・金銭
Ability 能力
Give 与える
Entrust 信頼して預ける
Receive 受け取る
Trade 取引する・商売する
Gain 得る・増やす
Invest 投資する
Earn 稼ぐ・得る
Hide 隠す
Dig 掘る
Ground 地面
Bury 埋める
Return 戻る・返す
Settle 清算する・決着をつける
Account 勘定・計算
Faithful 忠実な
Trustworthy 信頼できる
Wicked 邪悪な
Slothful 怠惰な
Afraid 恐れて
Fear 恐れ・恐れる
Abundance 豊かさ・豊富
Interest 利息
Joy 喜び

聖書を読むときに覚えておきたい表現

英語 日本語
the Parable of the Talents タラントのたとえ
five talents 5タラント
two talents 2タラント
one talent 1タラント
according to one’s ability ~の能力に応じて
entrust A to B AをBに託す・預ける
receive a talent タラントを受け取る
make more さらに増やす・得る
trade with ~を使って取引する
invest money お金を投資する
hide something 何かを隠す
dig in the ground 地面を掘る
bury something 何かを埋める
settle accounts 清算する
be faithful 忠実である
Well done! よくやった!
good and faithful servant 良い忠実なしもべ
set someone over ~を任せる
enter into the joy 喜びの中に入る
be afraid 恐れる
hide something in the ground 何かを地面に隠す

覚えておきたい英語フレーズ&物語の流れ

物語では、主人が旅に出る前に、3人のしもべに財産を預けます。

He entrusted his property to his servants.
(彼は自分の財産をしもべたちに預けました。)


それぞれに異なる数のタラントが与えられます。

To one he gave five talents, to another two, and to another one.
(一人には5タラント、もう一人には2タラント、そしてもう一人には1タラントを与えました。)


主人は、それぞれの能力に応じてタラントを与えました。

To each according to his ability.
(それぞれの能力に応じて。)

この according to ~(~に従って・~に応じて) は、聖書を読むときにも覚えておきたい表現です。


5タラントを受け取った人は、それを使ってさらに増やします。

He made five talents more.
(彼はさらに5タラントを得ました。)


2タラントを受け取った人も、同じように増やします。

He made two talents more.
(彼もさらに2タラントを得ました。)


しかし、1タラントを受け取った人は、それを地面に埋めてしまいます。

He dug in the ground and hid his master’s money.
(彼は地面を掘って、主人のお金を隠しました。)


やがて主人が帰ってきて、しもべたちと清算します。

The master came and settled accounts with them.
(主人は戻ってきて、彼らと清算しました。)

ここで覚えておきたいのが、settle accounts という表現です。直訳すると「勘定を清算する」ですが、聖書のこの場面では、預けたものがどうなったのかを主人が確認するという意味で使われています。


5タラントを増やしたしもべは、主人にその結果を報告します。

I have made five talents more.
(私はさらに5タラントを得ました。)


主人は、忠実だったしもべを褒めます。

Well done, good and faithful servant.
(よくやった。良い忠実なしもべよ。)

Well done! は、現代英語でも「よくやった!」という意味で使われます。


そして主人はこう語ります。

You have been faithful over a little.
(あなたはわずかなものに忠実でした。)

ここでの faithful は、「信仰深い」という意味だけではありません。忠実な・誠実な という意味があります。


さらに多くのものを任せると伝えます。

I will set you over much.
(私はあなたにさらに多くのものを任せよう。)

set someone over ~ は、この文脈では「~を任せる・~を管理させる」という意味です。


そして主人は、しもべに自分の喜びに入るよう伝えます。

Enter into the joy of your master.
(あなたの主人の喜びに入りなさい。)

この表現は、聖書らしい少し文学的な表現です。


一方、1タラントを隠したしもべは、主人を恐れていたと説明します。

I was afraid, and I went and hid your talent in the ground.
(私は恐れて、あなたのタラントを地面に隠しました。)


TalentとAbilityの違い

「タラントのたとえ」を読むとき、talent と ability の違いも覚えておきたいポイントです。現代英語では、talent は「才能・特技」という意味で使われます。
一方、ability は「何かをする能力」という、より広い意味を持つ言葉です。

たとえば、She has a talent for music.(彼女には音楽の才能があります。)という場合は、特定の分野での才能を表しています。
一方、He has the ability to solve difficult problems.(彼には難しい問題を解決する能力があります。)のように、ability は「~する能力」という形でもよく使われます。

聖書のタラントのたとえでは、to each according to his ability と書かれており、主人はそれぞれの能力に応じてタラントを与えています。ここでの ability は、「才能の優劣を競わせる」というより、それぞれの人に応じた能力・力量を表していると読むことができます。

 FaithfulとTrustworthyの違い

聖書の英語でよく登場するのが、faithful という言葉です。

faithful は「忠実な」「誠実な」という意味があります。一方、trustworthy は「信頼できる」という意味です。
「タラントのたとえ」では、英訳によってこの部分の表現が異なります。

ESVでは good and faithful servant となっていますが、NRSVUEでは good and trustworthy slave と訳されています。つまり、英語訳によって単語が少し変わることがあります。

聖書を英語で読むときには、faithful = 忠実な、trustworthy = 信頼できるという基本的な意味を押さえておくと、異なる英訳を比較するときにも理解しやすくなります。

「増やす」は英語でどう表現する?

このたとえ話では、預かったタラントをさらに増やしています。

英語では、

  • make more(さらに得る・増やす)
  • gain(得る・増やす)
  • earn(稼ぐ・得る)
  • invest(投資する)

などの表現が登場します。英訳によって表現は異なります。

たとえばESVでは he made five talents more と表現されています。
一方、ISVでは he invested them and earned five more となっています。

そのため、英語の聖書を読むときには、「増やす」という日本語だけに対応する一つの英単語を覚えるのではなく、文脈によって make more / gain / earn / invest などが使われると考えると読みやすくなります。

「タラント」のたとえが伝えること

「タラントのたとえ」で印象的なのは、3人に同じものが同じ量だけ与えられたわけではないという点です。
一人には5タラント、もう一人には2タラント、そしてもう一人には1タラントがそれぞれの能力に応じて与えられました。

そして主人が評価したのは、単純に「どれだけ多く持っていたか」ではありません。5タラントを預かった人も、2タラントを預かった人も、どちらも預かったものを用いてさらに増やしました。

その二人に対して主人は、同じように、Well done, good and faithful servant. と語っています。一方、1タラントを預かった人は主人を恐れて、そのタラントを地面に隠しました。

このたとえをどう解釈するかについては、キリスト教の中でもさまざまな議論がありますが、少なくとも物語の中では、預かったものをどう扱ったか、そして主人に対してどのような態度を取ったかが重要なポイントとして描かれています。

また、現代の英語で「才能」を意味する talent が、この聖書のたとえで使われた「タラント」という言葉と結びついていることも興味深いところです。

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