イギリスには、かつて「どんな英単語を使うかによって、その人の社会階級がわかる」と考えられていた時代がありました。
1950年代に言語学者Alan S. C. Rossが提唱したのが、U English / Non-U Englishという考え方です。
U = Upper Class(上流階級)
Non-U = 上流階級ではない側、とくに中流階級 という意味です。
面白いのは、U Englishが必ずしも「難しい英単語」ではないこと。むしろ、「そっちのほうが上品そうなのに、実はNon-U?」と思ってしまう組み合わせがたくさんあります。今回は、そんな言葉を「庶民っぽい英語 vs お嬢様・おぼっちゃまっぽい英語」として紹介します。
庶民っぽい英語(Non-U) vs お嬢様・おぼっちゃまっぽい英語(U)
| Non-Uとされた表現 | Uとされた表現 | 日本語 |
|---|---|---|
| Cycle | Bike / Bicycle | 自転車 |
| Wealthy | Rich | 裕福な |
| Perfume | Scent | 香水・香り |
| Serviette | Napkin | ナプキン |
| Settee / Couch | Sofa | ソファ |
| Toilet | Lavatory / Loo | トイレ |
| Mirror | Looking-glass | 鏡 |
| Glasses | Spectacles | 眼鏡 |
| Greens | Vegetables | 野菜 |
| Preserve | Jam | ジャム |
| Sweet | Pudding | デザート |
| Radio | Wireless | ラジオ |
| Lounge | Drawing room | 応接間 |
| Note-paper | Writing-paper | 便箋・筆記用紙 |
| Pardon? | What? | え?/何? |
| Pleased to meet you. | How d’you do? | はじめまして |
これらは、1950年代に論じられたU/Non-U Englishの代表的な例です。
「Pardon?」より「What?」?
① Pardon?(すみません、もう一度お願いします。)
② What?(何?/え?)
さらに意外なのが、この2つの違い。現代の感覚では、Pardon?のほうが丁寧そうに感じますよね。
ところが、伝統的なU/Non-U Englishでは、What?がU、Pardon?がNon-Uとされていました。
つまり、昔のイギリスでは、「丁寧そうな言葉=上流階級らしい」とは限らなかったのです。
「お嬢様・おぼっちゃま英語」は今でも使える?
ここは注意が必要です。
今回紹介したのは、現在のイギリスで「この単語を使ったら上流階級」と判断できるルールではありません。
Cambridge Dictionaryでも U と non-U は現在、old-fashioned(古風)とされています。
また、こうした言葉による階級差は20世紀後半から弱まり、2020年代には、昔のU/Non-Uの単語だけで社会階級を判断することは難しくなっています。そのため、この記事では、「現代のお嬢様が必ず使う英語」ではなく、「かつて英国で“上流階級らしい”と考えられていた英語」として楽しむのが正確です。