アボカド?アボガド?どっちですか?
英語を見れば一目瞭然です。「Avocado」、スペルは「アボカド」ですね!もう間違えません。忘れてしまったら、スペルを思い出してみてください!
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1.アボカドの植物学

まず、アボカドの原産地は、中米・南米北部の熱帯(tropics)と亜熱帯(subtropics )の地域に分布しています。
アボカドには多く分けて3つの園芸品種(horticultural races)があります。これらの種類には形や生理学上の違い、そして異なる化学物質を有しています。
- 西インド諸島系(the West Indian race)
- 熱帯地域に分布・低い温度での保存に適さない
 - 果実のサイズは様々で、表面は薄く凹凸が少ない
 - 比較的低い油分割合:3-10%
 - 甘い風味
 - 主な品種:モアズ(Maoz), ルックル(Ruchle), ワルディン(Waldin)
 
 - グアテマラ系(the Guatemalan race)
- 亜熱帯に分布・西インド諸島系に比べて寒さに強い
 - 果実は大きく、表面はざらざらしている
 - 中程度の油分割合:8-15%
 - 濃厚・コクがある(a rich flavour)
 - 主な品種:エドラノール(Edranol), ピンカートン(Pinkerton), リード(Reed), グエン(Gwen)
 
 - メキシコ系(the Mexican race)
- 最も寒さに強い
 - 果実は小さい
 - 最も油分割合が多い:~30%
 - 濃厚かつアニスのような風味(anise-like flavour)
 - 主な品種:デューク(Duke), ノースロップ(Northrop), ズタノ(Zutano)
 
 
その他の混合種(hybrid)
グアテマラ系とメキシコ系のハイブリッド
- フェルテ(Fuerte):油分の割合(12-17%)
 - ハス(Hass):油分の割合(18-22%)
 - ライアン(Ryan)
 
アボカドは大きなひとつぶの種を持っていますが、現代の動物たちにはそんな大きな種を食べれる生き物はほとんどいません。通常植物の種は動物の胃の中で移動して、生息地を広げて行きます。
アボカドの場合は、太古の昔に大きなゾウによって種を運ばれて行ってたことが、最近の研究で明らかになっていますね。
2.アボカドの木

基本的にはアボカドの木は小さいものから、大きいくなるものまで様々です。花に関しては、小さい、薄緑色(pale-green)もしくは黄緑色(yellow-green)の花を付けます。花の付き方は、 枝の先に付近に総状花序(racemes)で花が咲きます。総状花序とは、最初に開く基部の花の主な茎に沿って伸長した花のふさ事です。フジ・スズランなどがこのふさの付き方をしますね。
アボカドの花は、6つの花被(perianth)を持っています。花被とは、一般に緑色で、花弁より強いです。主な働きは,つぼみの時期に花全体を包み,内部を保護することです。6つの花被に加えて、雄しべ(stamens)は9つあります。そして最後にひとつだけ雌しべ(pistil)を保有しています。
アボカドの栽培品種(cultivars)にはクラスAとクラスBと呼ばれるものがあります。これはアボカドが花粉を受け取る時間、放出する時間において区別されますね。
- クラスA(Class A)
- 午前中に花粉を受け取ります。
 
 - クラスB(Class B)
- 午前中に花粉を流します。
 
 
そして、最後にアボカドの熟し方から、クリマクテリック(climacteric)に分類されます。クリマクテリックとは、成熟時に呼吸量が著しく増加する時期の事を指します。
2.アボカドの栄養価

アボカドの食べることが出来る部分の100g当たりの栄養価(nutritional value):
- 水(Water):73%
 - カロリー(Calories):170 kcal
 - タンパク質(Protein):2%
 - 脂質(Fat):14.7%
 - 糖質(Sugars):0.7%
 - デンプン(Starch):0.1%
 - 食物繊維(Fiber):6.7%
 
ミネラル(Minerals)
- カルシウム(Calcium):12mg
 - 鉄分(Iron):0.6mg
 - マグネシウム(Magnesium):29mg
 - リン(Phosphorus):52mg
 - カリウム(Potassium):485mg
 - ナトリウム(Sodium):7mg
 
ビタミン(Vitamins)
- ビタミンA(Vitamin A):146 IU
 - ビタミンB1/チアミン(Vitamin B1/thiamin):0.07mg
 - ビタミンB2/リボフラビン(Vitamin B2/riboflavin):0.13mg
 - ナイアシン(Niacin):1.7mg
 - ビタミンC(Vitamin C):10mg
 
3.アボカドの収穫

アボカドは木に生っている時は、熟しません。そして、成熟したら手作業で収穫されます。
問題はどうやって成熟を測るかなのですが、ここで使われるのは、満開後日数(DAFB)と呼ばれる基準です。
- DAFB(Days After Full Bloom):満開後日数とは、果物の特定の重さ、サイズ、長さ、直径、体積などを測る方法です。
 
一般的に油分量は成熟期に連れて増加していきますが、収穫後に0℃~20℃で保存されると変化が止まります。油分量が成長過程で増加する一方で、水分量は減少していきます。
成熟が不十分な状態で収穫されるとアボカドは、熟さない上に変色し、しなび、ゴムのように弾性が強くなります。
アボカドの味に影響を与えるのは木に生っている時から、収穫の時期までにかかっていると言われますね。
4.アボカドの保存

成熟した緑色のアボカドであれば、適切に保存して2~4週間持ちます(品種、成熟度、収穫時期によりますが)。
保存条件:
- 温度:5℃~13℃
 - 相対湿度(relative humidity/RH):85~90%
 
収穫したらすぐに冷やすことが大事です。これを予冷(Precooling)と呼びます。予冷はハイドロクーリング(hydrocooling)や強制空気冷却(forced-air)によって効率よく行うことが出来ます。
この冷却は段階的に行うとよりフルーツの質を保つことが出来ます。
例えば(品種、時期、地域によって異なります):
- 一週間ごとに1℃~2℃下げる(3.5℃以下にならないようにする)
 
収穫したてのアボカドと違って、熟したアボカドは低い温度(2℃~4°C/85-90% RH)でも最大2週間程度であれば保存可能です。
5.アボカドの病気

アボカドの一番の大敵は寒さです。低温度で保存されると、冷害(chilling injury)が起こります。
一般的に、グアテマラ系とメキシコ系の品種は西インド系の品種よりも寒さに強いと言われています。
冷害の外的症状:
- くぼみ・穴(pitting)
 - 表面が黒ずむ(blackening)
 
冷害の可能性を減らすためには、CA貯蔵が良いようです。
- CA貯蔵:Controlled Atmosphere Storage(温度、湿度、大気組成の三者を調節した貯蔵庫)
 
アボカドの中身が黒ずむのはまた別の対処が必要です。対処法は保存時の適切な喚起だそうです。
主な症状:
- 果肉(pulp)の黒ずみ
 
Reference: